詩集『夜と不死』

不死について

 

 

 もっとも新しいものは

もっとも古いものであった

私達人間は

あらゆる生き物よりも先に生まれ

だから年を取り退屈している

 

花を摘み

肉を食べたりするのもそのせいだ

そのために私達は怒りっぽく

そのために私達には休息がない

 

起きていては目的を持ち

寝ていてさえ夢を見る

 

大昔の私達の祖先が

不死の薬を飲んでしまった

だから私達は死なない

死んで、生まれ変わるが

本当には死なない

 

 

 

 

 


夢の浮橋(抄)

まわりには何種類もの時間があり

それぞれが

別々の時計によって

告げられる

 

幻の舞踏(冒頭)

 「愛」という名の鉱物が発見されたのは、紀元二千三百年初頭、北アフリカの山中であった

書籍情報

1991年発行

1992年再版

驢馬出版

A5版、92ページ

2000円